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ここ美作の国にまつわるお酒の話や町の話題・蔵人のないしょ話・蔵からのメッセージなど、エッセイ風に皆様にお届けしていきます。
その五十(2004年8月1日)


 県南に比べると、中北部の勝山は多少の気温差があるものの、年々厳しさを増す夏の暑さにはやはりまいる。うだるような熱気、賑やかなセミの声…。日本全国まさに夏本番、である。

 勝山では朝夕の打ち水は日常の光景。「どこのお家もみんな普通に(!)やってる」と地元の人たちは言う。旧家では、梅雨が明けると家の中のしつらいを夏用に替える。ふすまや障子を簾戸(すど)に取り替え、少しでも風を呼び込むのだそうだ。日よけのよしずもむろん大活躍。家の前にはフウセンカズラや朝顔など蔓性の草花、もしくは水草をあしらい、風鈴が透明な音を響かせる…。通りを歩けば、そんな見た目にも涼しげな工夫や知恵がここかしこに息づいているのである。

 この時期になると、にわかに縁台を出すお宅もある。団扇片手に年配の方たちがのんびりと囲碁や将棋に興じるのだろうか。このご時世、夏の夜ふらっと道草ができるそんなささやかな社交場があるなんてうらやましい限りだ。紺やブルー系に衣替えするのれんも視覚のクールダウンに一役買っている。あとは浴衣姿の女性がここを歩けば、町の景色にぴたりとはまるのだが…。

 さて、そんな夏仕立ての町の様子は、勝山までぜひ足を伸ばして感じていただきたいものだが、今回は、勝山っ子おすすめのとっておきの小道やスポットをご紹介してみようと思う。観光コースにはない、通学途中の石段やひなびた神社の境内、迷路のような裏道に、「ちょっといい風景」を発見しながら、勝山ならではの生活の匂いをお伝えしようという趣向だ。

 充分に歩いてまわれるほどの範囲に、武家エリア、寺社エリア、町人エリアの3つが、今もきっちり形をとどめているのも、城下町勝山ならではの面白さ。とりわけ侍屋敷跡界隈は、あえて迷路のように区画されていることもあり、迷いこんだ小道に思わぬ出会いが待っていることもある。五感をフルに発揮して、そんなぶらぶら散歩にでかけてみた。




【風景その1】

勝山高校のすぐ裏手にある石段の小道。高校生たちにとっては、お馴染みの通学路。この坂の雰囲気が、なんとなく尾道の映画のロケ地を彷彿させる。石段のすぐ右側にも人ひとり通れるくらいの細い小道が続き雰囲気満点。かつての侍屋敷の面影を忍ばせるように、共同の井戸が今も所どころに残っている。




【風景その2】

住宅が建ち並ぶ侍屋敷跡。込み入った路地を歩いていると、偶然家の前にござを広げて、神社に奉納する注連縄を編んでいらっしゃる方に遭遇した。稲わら15本を一束にして、7本、5本、3本にわけて3つ編みにしていくんだよ、と教えててくれた。昔ながらのそんな風習や決まりごとを、年配の方たちは今も大事にされている。




【風景その3】

勝山の一宮として古くから親しまれてきた鈴神社。長い石段をふーふーいいながら上りきると、境内からは町の景色が一望に見渡せる。高台のこんもりとした緑が、いかにも鎮守の森の風情。


【風景その4】

散歩途中、「カフェ てあ」に寄って腹ごしらえ。山野草おじさんこと、マスターの栗田さんおすすめの「竹みょうがのペペロンチーノ」をいただく。竹みょうがは、みょうがの茎の部分。スーパーでは絶対にお目にかかれない、この時期、地元でしか食べられない珍しい食材だ。土の中のみょうがそのものより上品な香味。夏の味覚が口の中いっぱいに広がった。



【風景その5】

勝山のシンボル、旭川。鳴門橋から川沿いにつたう道は、地元の人の夕涼みコースだ。この季節、待ってましたとばかりに姿を現すのが、腕自慢の釣り師たち。むろん狙いは鮎である。夏の日射しを浴びてきらきらと光る川面や、白い水しぶきの中、長い竿が何本も立つ光景は、ずっと眺めていても飽きることがない。



2004年8
月1日


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