御前酒蔵元

蔵元概要

文化元年(1804年)、現在地に酒造業を創業。当時は美作勝山藩御用達の献上酒として「御膳酒」の銘(現在の銘柄の由来)を受け、一般には「萬悦」の銘柄で親しまれていた。又、当蔵元は古来「うまさけの国」と言われたこの「美作(みまさか)」の地(岡山県北の旧国名)で、寒冷な気候、良質の酒米と水という、酒造りの好条件に恵まれた環境にある。このことは、当蔵の基本方針にも表れている。長い歴史の中、地元の米、地元の水、そして地元の技で醸すことこそ、造り酒屋の原点と考え、綿々と酒造りに励んでいる。

酒質の特徴としては、県南の瀬戸内の酒が甘口であるのに対して、すっきりとした辛口が持ち味である。それは、冬の寒さの厳しいこの地の人々が求めた味でもある。また、早くから(昭和45年頃)純米酒の製造にも積極的に取り組み、現在では製造数量の7割を占める。また、当蔵で40余年の熟練者であった前杜氏の原田 巧の後を引き継ぎ、平成19年より岡山県初の女性杜氏 辻 麻衣子が酒造りを行っている。蔵人も若返り、杜氏を盛り立てている。

当蔵元の辻家では、明治から昭和にかけての当主が、文化的な活動にも積極性であり、自ら書画を嗜むことから、文人墨客の訪れることが多く、与謝野鉄幹、晶子夫妻の逗留をはじめ尾上紫舟、碧梧桐等が画帳、色紙に筆跡を残している。また、旨酒をこよなく愛した明治の文豪、谷崎潤一郎は当地で「細雪」を執筆していたことは、意外に知られていない。彼の逗留していた町屋も現存している。歴史学者である奈良本辰也を始め、池田弥三郎等。その他渥美清、永 六輔等、多くの客人が訪れてる。酒を通したさまざまな文化とのふれあい。こうした御前酒の歴史は、上質の酒造りの伝承と本物へのこだわりであり、次代の酒文化の担い手としての心意気を示すものに他ならない。


代表取締役 辻 総一郎

御前酒 酒造りのこだわり

備中杜氏 辻麻衣子は前杜氏の味「コクがあって、なおかつキレのよい酒」を引き継ぎながらも、さらに「なめらかさ」を求めて若い蔵人と共に日々研究に努めております。

酒の原材料は「米・米麹・水」。御前酒蔵元では、地元の米にこだわり、岡山県産の雄町、山田錦といった酒造りに適した米を選び、磨き、酒を醸しています。仕込み水は、蔵の横を滔々と流れる一級河川「旭川」の伏流水を地下から汲み上げ、使用しています。

1804年創業当時のままの酒蔵は、一部機械化されておりますが、まだまだ人の手に頼る部分が多いです。毎年11月から翌年4月の寒仕込み期間中は、蔵人たちが集い、昼夜問わず酒造りに汗を流しています。

右の写真は大吟醸の麹。うっすらと生えてきた麹の菌糸がご覧いただけるでしょうか。菌糸が米の中まではぜ込んでいるか、ルーペで入念にチェックしています。

御前酒クラブ

日本酒を大切な日本の文化と考え、より良き伝統文化にふれあい、年数回の「宴」の開催を通じて愛しみ育てることを目的とした御前酒ファンのための会です。

御前酒クラブ会員の方には会員カードを配布しております。御前酒蔵元の売店内「顆山蔵」での桶番の有料試飲が無料で行えたり、おひなまつりの際には、御前酒蔵元「如意山房」での展示に無料で入館することができます。

年会費 新会員1,000円(税込)更新500円(税込)
企画参加は、別途、参加会費をいただいています。

会員の募集は随時行っております。但し、現会員の紹介者が必要です。

会員の募集はこちらまで
酒ショップ山本
TEL.086-224-8820

登録有形文化財

辻本店 店舗兼主屋など

二万三千石の城下町勝山の旧出雲街道沿いに建つ当御前酒蔵元辻本店は、1804年(江戸時代後期文化元年)の創業の造り酒屋で、旧美作藩主 三浦家に献上したことから「御前酒」の銘がある。
有形登録文化財に指定された建物などは、通りを挟んで東側に主屋・店舗などがあり西側は土蔵であるレストラン西蔵を配置する。いずれも江戸後期・幕末から明治期の建物である。店舗兼主屋は大型の町家形式で、赤色瓦やなまこ壁が当地方の住宅の特徴で主屋の南に事務所、北に衣裳蔵が連なり、街路の景観を引き締める。衣裳蔵西面の扉は、土戸の内面を竜虎の鏝絵(こてえ)を描き、庇(ひさし)持送りの彫刻も繊細である。ほかに奥座敷・社舎・倉庫など、老舗蔵元の生業や生活の有り様を伝える一連の施設がまとまって保存され今も活用されている事と、近代和風建築の特徴が表れ、歴史的景観に寄与している点を評価され2013年11月「登録有形文化財」に登録されました。

旧岡野屋旅館

明治末期の建築とされ木造2階の入母屋造(イリオモヤヅクリ)で、客室棟は川岸の石垣上にせりだして建つ外観が特徴。